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2020年春以降のビール関連ニュースまとめ

先週公開の記事「コロナ禍に立ち向かう国内外のクラフトビール」で取り上げた以外の、今春以降のビール関連のニュースをまとめます。明るいニュースが出てきたのが幸いです。日本ビール検定(びあけん)の時事問題対策にも役立つでしょう。

公開日:2020年6月14日
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一度出した破産申請を取り下げた酒造会社

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日本酒「加茂五葉」や焼酎の他、「作州津山ビール」も製造・販売する岡山県津山市の多胡本家酒造場は、3月3日に破産処理を申請しました。しかし、多数の取引先や消費者、地元から惜しむ声と支援が届き、3月28日に破産申請を取り下げました。1996年からビールを製造してきた他、毎年の「地ビール祭り」を21回開催し、地域を盛り上がる役割を果たしてきた酒造会社でもあります。

4月後半に米国テキサス州サンアントニオで予定されていた、世界最大の国際的ビール審査会・ワールドビアカップ(WBC)と、WBCと連続する日程で開催を予定していた見本市とセミナー群のクラフトブルワーズカンファレンス(CBC)は、コロナ禍の影響で中止となりました。WBCは偶数年に開催され、東京2020のように翌年に延期する可能性を考えた人もいたようですが、準備期間や、ミネソタ州ミネアポリスでの2022年大会までの間隔を考慮し、延期ではなく中止が決定されました。CBCはいくつかのセミナーをオンライン開催に移行して好評を得ました。なお、CBCは毎年開催され、2021年の開催地はカリフォルニア州サンディエゴです。WBCもCBCも、主催者は米国のクラフトビール業界団体である、ブルワーズアソシエーション(BA)です。
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クラフトブルワーズカンファレンスのセミナーの一部はオンライン化され、ブルワーズアソシエーションの会員は録画を視聴できる

コロナ禍の影響を計る基準となるデータが発表

そのBAが半年に1回発表しているのが、米国クラフトビール業界の規模を示す指標で、2019年末現在のデータが4月に発表されました。クラフトビールの数量シェアは13.6%、金額シェアは25.2%、クラフトブルワー数は8275で、前回調査よりも増加しています。しかしご想像の通り、2020年初頭からはコロナ禍が始まってクラフトビール業界にも大きな悪影響を与えているため、これらの指標は下がるのではないかと見られています。2019年末現在のデータはコロナ禍の影響を計るための基準にもなるということです。

出来の良かったコオロギビール、第2弾へ

昆虫食を追究するアントシカダ社が3月に発売した、コオロギを原料の一部として使ったビールの第2弾の製造が、5月24日に発表されました。飼育中のコオロギにビールづくりで生まれるビールかすを与えたところ、 彼らの食いつきが良く、身の味も優れているとのことです。第1弾は岩手県の遠野醸造が製造し、コオロギらしさにはやや欠ける面がありましたが、焦げ茶色の出来の良いビールに仕上がっていました。第2弾の製造は埼玉県の所沢ビールです。所沢ビールは出来の良い燻製ビールでも知られるようになってきたので、燻製香が乗ったコオロギビールの可能性にも期待してしまいます。
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3月に渋谷で提供されたコオロギのビールと佃煮。佃煮は食感も味わいも川エビのようで美味しい

日本の大手メーカーによるビール会社買収

アサヒビールは6月1日に、オーストラリアのカールトンユナイテッドブルワリーズ(CUB)の買収を終えました。前オーナーで、世界最大のビール会社であるアンハイザーブッシュインベブから買い取りました。コロナ禍や、当初の買収案ではオーストラリアの独占禁止当局から懸念が出てきたなか、なんとか終えたかたちです。

日本の大手メーカーによる買収としては、キリンビールが米国のニューベルジャンブルーイングを買収する動きが、2019年11月に報道されました。ニューベルジャンは「ファットタイヤ」「ヴードゥーレンジャー」といった銘柄で知られ、日本にも輸入されています。当初は2020年3月に完了する見込みと発表されましたが、コロナ禍の影響で手続きが遅れているのかもしれません。なお、ニューベルジャンはキリンに買収された瞬間に、BAのクラフトブルワーの定義の面からも、クラフトブルワーではなくなります。

海外の人気クラフトビールブランドの公式バーが相次いでオープン

6月は海外のクラフトブルワリーの公式飲食店のオープンが2軒続きました。一つ目は、台湾の臺虎精釀(タイフーブルーイング)で、6月10日に東京・神楽坂に「タイフートーキョウ」を開業しました。タイフーは、台湾で最も勢いのあるブルワリーと言われ、デンマークのミッケラーが主導して2018年から日本でも開催されている国際的なビールフェスティバル「ミッケラービアセレブレーショントーキョウ(MBCT)」にも出店し、日本人からの注目も集めています。タイフートーキョウの住所は公表されていませんが、神楽坂の本多横丁沿いにあります。当面はビールの提供のみの営業を続ける予定で、料理も提供する本格的オープンは2020年秋を見込んでいます。

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この記事のライター

長谷川小二郎

編集、執筆、英日翻訳。米WBC、GABF、豪AIBA、独EBS、日IBCなど国際的な上位ビール審査会で審査員。ビールと料理を合わせる「ベルギービールKAISEKI(会席)アドバイザー認定講座」「ビアコーディネイターセミナー」で講師。最新刊は共著・訳『今飲むべき最高のクラフトビール100』。

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