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ビールと料理の組み合わせのプロは、いま家飲みで何を合わせているのか

コロナ禍にある中、家飲みによるビール消費が増えています。家でビールと一緒に楽しむ食べ物は、自分でつくるなり、持ち帰りなり、宅配なりさまざまです。複数の講座を担当する「ビールと料理の合わせ方のプロ」に、家でできる合わせ方の例を教えてもらいました。長谷川小二郎さんによる寄稿です。

公開日:2020年6月6日
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筆者は、ビールに関していくつかの活動をしていて、その中の一つに「ビールと料理の合わせ方の理論を追究し、そこから得られた法則を生かして創造的な組み合わせを提案する」ことがあります。具体的には、日本ベルギービール・プロフェッショナル協会(JBPA)主催「ベルギービールKAISEKI(会席)アドバイザー認定講座」のテキスト執筆・講師や、日本地ビール協会(クラフトビア・アソシエーション、CBA)主催「ビアコーディネイターセミナー」の講師の他、自主開催で合わせる会を開催してきました。最近では講座、会のオンライン化も果たしています。
現在、コロナ禍にあって、いやが応にも自宅でビールを楽しむ機会が増えています。そこで、家で合わせる例を提案するために、筆者が最近実際に合わせて美味しかった組み合わせを紹介します。

グーズランビックと生牡蠣

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グーズランビックとは、ベルギーの首都ブリュッセル近郊で伝統的につくられてきた、強い酸味と馬やヤギといった一風変わった香りを特徴とするスタイル(醸造様式)です(この写真の銘柄は例外的にブリュッセルから離れたところでつくられています)。このビールと生ガキを合わせるときは、レモンを絞ってはいけません。ビールからもたらされる酸味で十分です。塩は、筆者はそのままのカキが持つ塩気で十分ですが、多少振ってもいいかもしれません。

そうして合わせると、ビールの酸味で塩カドに丸味が付き、調和する感じが味わえるでしょう。塩でうま味が強く感じられるのは言うまでもありません。そこにグーズランビック独特の複雑な香りが乗りつつ、カキという素材を生かす組み合わせです。

ベルジャンホワイト、カツオパクチーずし

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ベルジャンホワイトとは、その名の通り、ベルギー発祥の白ビールです。白ビールとは、小麦を使っていて白濁しているビールのことで、ベルジャンホワイトはさらにコリアンダーの種とオレンジの皮で香り付けがされます。

コリアンダーはパクチーとも呼ばれ、特に葉を指すときはパクチーの名前の方が通っています。種はオレンジのような香りと少しツンとする刺激があり、葉はあの独特の青い感じの香りがして「カメムシのよう」と言う人もいます。そしてこの種と葉には、どことなく同じ植物だと感じさせる共通の特徴が感じられます。

このビールを口に含むと、柔らかくふくらみのある口当たりと、穏やかな甘酸っぱさが広がります。

ナンプラー(魚醤)に少し漬けておいたカツオ(今は戻りガツオに比べてさっぱりとした初ガツオの季節です)を使ったちらし鮨にはさらにパクチーを盛って東南アジアらしさを強めておきました。

これにベルジャンホワイト合わせると、コリアンダーらしい味わいが強まり合い、ビールの甘酸っぱい味は鮨めしの甘酸っぱさと違和感がなく、安心感があります。人間は「おふくろの味」と言うように、食べ慣れていて安心するものを美味しく感じるようにできているようです。

ヘイジーオアジューシーIPA、ホタルイカ刺身

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ホタルイカの旬は春で、今年は豊漁につき安価で、関東に住む筆者の近所の魚屋にも富山湾産の生のホタルイカが並びました。生まれて初めて見ました。これをおろして、アニサキスなどの寄生虫が多い肝は酒煎りして醤油と混ぜてタレとして、刺身で食べてみました。

これに合わせたビールは、近年世界的に流行しているジューシーオアヘイジーIPAです。このスタイルはごく簡単に言うと、苦味付けというよりもフルーティーな香りを付けるためにホップを大量に用いていて、口当たりは見た目の通り滑らかです。そして色からしても、ホタルイカと言えばの酢味噌に見立てたわけです。まろやかで、甘味があり、フルーティーな香りがあるところなどが共通しています。

これらを合わせると、フルーティーな香りで身と肝の生臭さは和らぎますが、うま味はそのままです。そして一緒に噛むと、酢味噌で食べているかのような懐かしく「ああ、これこれ」という感覚も得られます。再び、安心の美味しさです。

以上、法則も断片的に交えて三つの組み合わせを取り上げました。そうした法則を使えば誰もが、「うまくいくであろう」とまず仮説を立て、その上で実践し、うまくいく確率を高めることができるようになります。

法則も踏まえて総合的に合わせ方を学べる資格講座「ベルギービールKAISEKI(会席)アドバイザー認定講座」は次回、6月20日(土)に、多くの要望を受けてオンラインで開催します。
この講座を受講すると例えば以下のことが分かるようになります。
・KAISEKI(会席)の意味を意識することで広がる組み合わせ
・ベルギービールの分類と、それぞれに合わせる料理の考え方
・そもそも人はどんなものを美味しいと捉えるか
・調味料、ハーブ、香辛料の基礎知識
・ベルギービールと特に和食の合わせ方
・ビールを調理に生かす四つの方法

今回取り上げた料理と講座内容に共通している点の一つは、もうお気づきの通り、和食です。和食とビールを合わせるのに、「同じ食文化の中で愛され続けてきた」と言える組み合わせは、ほとんどありません。失敗する可能性もありますが、その分しっかり考えて、成功例を生み出す甲斐のある世界と言えます。

これらを理解した上で、ビールと料理の色や発祥国の一致を軽く超えた創造的な組み合わせを自分で考えていけるようになりましょう。お申し込みをお待ちしています。
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講座名:ベルギービールKAISEKI(会席)アドバイザー認定講座
日時:2020年6月20日(土)10:30 – 17:30
配信方法:オンライン(Zoom)
受講資格:20歳以上の方。

※ベルギービール・プロフェッショナル ベーシック講座(旧ベルギービール・アドバイザー)を未受講の方は、後日ベルギービール・プロフェッショナル ベーシック講座を受講いただくことで資格認定となります。

詳細、お申し込みは下記ページから。
https://www.jbpa.jp/3276
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この記事のライター

長谷川小二郎

編集、執筆、英日翻訳。米WBC、GABF、豪AIBA、独EBS、日IBCなど国際的な上位ビール審査会で審査員。ビールと料理を合わせる「ベルギービールKAISEKI(会席)アドバイザー認定講座」「ビアコーディネイターセミナー」で講師。最新刊は共著・訳『今飲むべき最高のクラフトビール100』。

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