ビールを愛するSTYLE BREW WORKS 植松さんと田中さん
醸造所を持たないファントムブルワリーとして活動するSTYLE BREW WORKSの共同経営者の植松さんと田中さん。2020年中には、カナダに拠点を移し活動します。海外に飛び立つ前に、今のビールに対する想いをお聞きしました。
大学生の時にクラフトビールにハマりました
植松さん(以下:植松):京都の大学に通っている時に、木屋町通りによく通っていました。木屋町通りは、飲食店とアート、音楽が融合しているような街です。その街のレコード屋が経営しているカフェに繋がっていたのが志賀高原ビールの「House IPA」でした。
ガツンと来るIPAを飲んだ時に、“なんてすごいビールなんだ”と感動したのを覚えています。このビールを飲んだことをきっかけにクラフトビールにハマっていきました。
田中さん(以下:田中):ビールはお酒を飲み始めた時から好きで、よく飲んでいました。
クラフトビールにハマったきっかけは、京都にある「和知」という地ビールと燻製のお店で飲んだNorth Coast Brewing 「Brother Thelonious」でした。自分もこういうビールを造ってみたいなと思うきっかけにもなりました。
植松:田中さんは、大学の先輩で学部は違うんですが、イベントでDJなど音楽をする団体で一緒でした。そのころは、一緒にビールを造るとは思っていませんでした。
ビールの世界には、思い切って入りました
田中:大学卒業後は公務員を目指していましたが、好きな事を仕事にしたいと思い、クラフトビールの世界に入りました。
大阪で開催されていたCraft Beer Picnicのボランティアスタッフとして参加した時に、出店しているお店の中で一番美味しいと感じるビールのブルワリーで働こうと決め、出店しているビールを全て飲んでいきました。
一番美味しいと感じたのは、箕面ビールが造ったビールでした。そこからすぐに電話をして、箕面ビールで働かせてもらう事になりました。電話をしていなければ、ビールの世界に入ることは無かったので勇気をだしてよかったと思っています。
植松:私がクラフトビールの仕事をしたいと思った当時、国内のブルワリーでは、あまり人を募集しておらず、なかなか縁がありませんでした。
知人に紹介してもらったのは、ニュージーランドのFunk Estateというビール工場でした。面接はSkypeでもよかったのですが、“ここは現地まで行った方がいい”と思いニュージーランドまで行きました。そこで、自分の想いを直接伝えることができ、約1年間働かせてもらいました。高い面接費用だったなと思っています(笑)。
二人ともビールの世界に入るときは、思い切って行動していますね。
クラフトビールがある空間を楽しんでほしい
植松:自分がクラフトビールと出会ったのは、音楽を通してでした。自分達がビールを造り、イベントなどを企画する時は、「クラフトビールとアート」や「クラフトビールと音楽」などビール単体ではなく、何かと一緒に楽しめる空間を作りたいなと思っています。
田中:植松さんとクラフトビールを造ろうと思ったきっかけもそうですが、楽しいかどうかというのが重要だなと思っています。自分達がやっていて、楽しいかどうかが仕事をする上でもモチベーションにもなっています。
「STYLE BREW WORKS」「クラフトビール」「お客さん」がどういう空間なら楽しめるのかというのを考えて、ビールのコンセプトや名前を決めています。ビール単体ではないという事が僕たちがビールを造る価値ではないかなと思っています。
田中:ビールを造る時は、パイントで飲んでもずっと飽きないようなビールを造るようにしています。UKパイントで出てくるとテンションも上がると思います。
造り手からしても、ごくごく飲んでもらえるのは、嬉しいですね。一方、ゆっくり味わって飲んでもおいしいビールを造れるように心がけています。何も考えることなく、ビールを楽しんで飲んでほしいなと思います。
また、クラフトビールだと思わず、当たり前にビールとして消費してほしいなとも思います。クラフトビールを飲んだことのない人達がクラフトビールを飲んでくれるようになれば嬉しいです。
電車でビールを運んでいました
植松:醸造所を持たないファントムブルワリーとして、最初にSTYLE BREW WORKSを立ち上げた時は、大変でした。ビールを卸す先が1つもない所から始めたので、営業先を1軒1軒回っていきました。配達をする時も都内であれば、10L樽をカバンに入れ、電車で運んでいきました。
田中:自分達で直接ビールを運んだ際に、時間があればそのお店で飲んでいました。納品時にそこで飲むとお店の人とコミュニケーションを取ることができるので、とてもいいなと思っていました。大変でしたけど、楽しかったです。