米国発祥のビアスタイル、スチームビア(カリフォルニアコモン)誕生
19世紀にドイツ移民がアメリカに移り住み、カリフォルニアでラガービールを造ろうとしました。本来ラガービールは、低温発酵・熟成を行いますが、カリフォルニアは暖かいので、ラガー酵母を使用しつつ、常温で発酵するというハイブリッドな造り方をしました。そうして造られたビールが「スチームビール」です。
なぜスチームなのかというと、発酵ででてくる「炭酸ガス」がポイントです。炭酸ガスを液体に溶け込ませるためには低い温度で溶け込ませなきゃいけないのですが、短期間の高い温度での発酵・熟成なので、たくさんガスがでるものの溶け込みません。そして、樽をあけるとシューッと炭酸ガスが噴き出すようになります。それがまるで蒸気機関(steam locomotive)みたいだ、ということから「スチームビール」といわれるようになりました。
アンカースチームは現在唯一残っている「スチームビール」です。
画期的な宣伝「バドガール」の誕生
アメリカのビールといえば、アンハイザー・ブッシュ社の「バドワイザー」。
バドワイザーは、エバーハルト・アンハイザーが初代創業者です。実はビール屋さんではなく、石鹸会社の社長でした。ビールの醸造所を趣味で買ったのですが、うまく両立できないので娘婿のアドルファス・ブッシュに渡しました。
1876年にブッシュの友人がレストランをやるので「スペシャル樽生ビールを造ってくれないか?」とブッシュに依頼がありました。そして出来上がったのが「バドワイザー」です。チェコの銘醸地ブドバゼという土地の名前から命名しました。そしてこの友人がビールを瓶詰めにして販売したり、コンテストに出してビールを入賞させたりしました。さらに、フィラデルフィア万博に出して話題にもなりました。
こうしてアンハイザー・ブッシュ社のメインブランドになりました。1883年に初代のバドガールが登場し、バドワイザーの宣伝をすることで順調に人気を博していきます。
19世紀前半のアメリカでは「バドガール」の登場は画期的な宣伝方法だったのです。
20世紀初頭にアンハイザー・ブッシュが全米1位になった三つの要素
1901年、アンハイザー・ブッシュは、全米シェア1位となります。その理由は3つあります。
①原料配合
アメリカの麦は、ヨーロッパの麦に比べてたんぱく質が多いです。タンパク質は分解されるとアミノ酸になってビールの旨味につながるのですが、ビールの旨味が強いと味が濃くなります。そこで思い切って酵母を3割以上いれることにしました。今までのビールの常識では考えられないことです。ただ薄くするとビールがしゃばしゃばになってしまうので、ホップは良質なものを使うことにしました。ヨーロッパからアロマホップを取り寄せて味を締めたのです。この組み合わせが非常に良い結果を生みました。
②熱処理
1865年パスツールにより、ビールを長持ちさせる「低温殺菌法(熱処理)」が発明されました。酵母が生き残っていると輸送している最中酵母が目を覚ましてどんどん再発酵してはじけてしまいますが、熱処理することで長距離輸送が可能となったのです。バドワイザーはこの考え方をアメリカで一番早く取り入れました。
③冷蔵車
ビールの配送は、線路のわきに巨大な冷蔵倉庫を建て、そこからチルド輸送をする方法をとりました。熱処理とこのチルド輸送を組み合わせたことにより、アメリカのどこへでも美味しいビールを運ぶことに成功したのです。品質物流という考え方を行ったのはアンハイザー・ブッシュが初めてです。
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