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サッポロ系ビール「ビアチェッロ」と「Polaris & Apolloの魔法」の意外な飲み方

4月24日にサッポログループから「Innovative Brewer ビアチェッロ」と「Innovative Brewer THAT'S HOP Polaris & Apolloの魔法」が発売されました。これにより、4月1日からのビール新定義によってビール区分となる、国内ビール大手4社による銘柄が出そろいました。

公開日:2018年5月7日
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4月24日にサッポロビールの子会社ジャパンプレミアムブリューから、「Innovative Brewer ビアチェッロ」と「Innovative Brewer THAT'S HOP Polaris & Apolloの魔法」という二つのビールの銘柄が発売。発売に先立って、4月19日には「Innovative Brewer THE 祭り」と題された、一般消費者も参加できる有料の先行試飲イベントも開催され、ビアチェッロだけでなくPolaris & Apolloの魔法の試飲もありました。

「ナショナル」「クラフト」にこだわらない

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二つの銘柄が属するブランドであるInnovative Brewerが画期的なのは、そのコンセプトです。2017年9月に「Innovative Brewer THAT'S HOP Nelson Sauvinの真髄」「Innovative Brewer THAT'S HOP絶妙のMosaic&Citra」という二つの銘柄とともに立ち上がったこのブランドは、「ナショナルビール・クラフトビールといった区分にこだわらず、新たに立ち上げるこのブランドからビールの既成概念にとらわれない独創的な価値提案を次々と行い新ビールカテゴリーの創造にチャレンジしていきます。」ということをコンセプトにしています。「ナショナルビール・クラフトビールといった区分にこだわらず」という姿勢を明確にしたのは、日本で大手と呼ばれるビールメーカーのなかでは初めてであり、「どう名乗って売るか」よりも「どう造るか」を重視している姿勢と言えます。

イベントではまずビアチェッロが提供されました。このビールにはグレープフルーツピール(皮)とオレンジピールが入っていて、さらに独自のドライホッピング製法という、麦汁が冷えたタイミングでホップの香りを付ける製法も採用しています。フルーツの使用は、従来の税制上の区分では採用すると、出来上がりは「ビール」ではなく「発泡酒」になりました※。しかし、今年4月1日の酒税法改正によって、一定の基準のなかでこれらを施してもビールの定義に入るようになりました。
※但し、麦芽の重量の5%未満の使用量に限ります。

しかし、同ブランドのマスターブリュワー(醸造責任者)を務めている新井健司さんは、「この銘柄の開発は2年前から始めていて、もともと『発泡酒』として発売するつもりだった。ビールの定義の拡大のタイミングと重なったのはたまたま」と言います。

いずれにせよ、ビールの定義が変更となったこの4月に、まず10日にサントリーが2銘柄、13日にはアサヒビールとキリンビールが1銘柄ずつ、定義変更のおかげでビールと呼べる銘柄を発売し、ビアチェッロをもって大手4社の銘柄が出そろったのは、消費者にとってみれば飲み比べができて楽しいことです。

試してほしい意外な飲み方

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さていよいよ試飲です。参加者にはビアチェッロの缶が手渡されていき、イベント中は飲み放題でした。どこからか「どうやって飲めばいいですか」と質問が上がると、「グラスに注いでも、缶からそのままでも、お好きなように」と新井さん。そこで三つの飲み方を試してみました。

一つ目は、豊かな泡をつくりつつグラスに注ぐ方法です。ビールの液に衝撃を与えて溶けている二酸化炭素を逃がしつつ香りの揮発を促すので、レモンやオレンジの香りがふんだんに立ちます。そしてその香りは果汁や、七味に入っていてもおかしくなさそうなスパイスのような感じを想起させます。

二つ目は、なるべく静かにグラスに注ぐ方法。一つ目と比べるとグラスから立つ香りは弱めですが、口に含むと舌や口腔内のほかの部位にぶつかる衝撃の影響で香りが揮発し、口腔経由で鼻に到達する香りは強く感じられます。つまり、舌で味を感じるやいなや香りも感じられるので、立体的な味わいを楽しむことができます。

最後は、缶からそのまま飲むことであり、筆者はこれが最も気に入りました。プルタブを空けても、香りはもちろんしません。しかし口に含むと、二つ目で味わえた「同時に感じる味と香り」は、グラスに注ぐ方がその形状もあってまろやかに横に広がっていく印象に対して、鋭くさらに強く感じます。ビアチェッロは、コンビニエンスストアで買えるビール系飲料のなかでは発泡具合が穏やかに感じたので、グラスに注いで溶けている二酸化炭素と香りを逃がさず、口の中で一気に解放しても美味しいだろうと思ったのです。この製品はコンビニエンスストアが主要な売り場となるので、買ってすぐに飲む状況を考慮したのかもしれません。

香り以外の特徴は、アルコール度数5.5%ですが、それほど強い感じはしません。オレンジの特徴もグレープフルーツの特徴も、缶に口を付けて飲んでもものすごく強いわけではなく、甘味と苦味の強さは同じくらいで、穏やかな程度であります。そしてその甘味と苦味が両方とも、オレンジとレモンの味わいと結び付いていて、ホップの苦味なのかオレンジとグレープフルーツの皮の苦味なのかを分けるのは困難です。つまりうまく融合しているということです。

合わせて新しい味わい=「マリアージュ」を起こせる料理

イベントでは続いて、「ビアチェッロマリアージュプレート」が3品、提供されました。ビアチェッロと合わせて新しい味わいをつくり出せる料理ということです。

1品目は、「グアンチャーレを巻いた山菜と海老のフリット グレモラータ風味」。グアンチャーレは豚ほほ肉を塩漬・熟成させたもの、グレモラータはニンニク、ハーブ、柑橘類の皮などのみじん切りをオリーブ油と一緒に火にかけて香りを出したもののことです。ビアチェッロと山菜を合わせると、ビールと山菜の両方にある苦味が高まり合って心地よい苦味、つまり、ほろ苦さが増します。海老のうま味はビールの苦味によって強まります。グアンチャーレに入っている柑橘類の皮はもちろん、ビアチェッロの柑橘類の香りを強めます。

2品目の「仔羊のロースト 南イタリア風 スパイスと香草風味」は、ウンドゥーヤ(豚肉に香辛料をまぶして熟成させたもの)やクミンがもたらすスパイスの複雑な香りが特徴です。ここにビアチェッロを合わせると、スパイスの香りと辛味も相まって、七味唐辛子のような香りが合成されます。つまりビアチェッロの柑橘類の香りは陳皮の役割を果たしているのです。この七味唐辛子のような味わいは、料理とビール両方に適度な緊張感を与えます。
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(・写真の皿右:グアンチャーレを巻いた山菜と海老のフリット グレモラータ風味
 ・写真の皿左:仔羊のロースト 南イタリア風 スパイスと香草風味)


そして最後にはデザートとして「カンノーロ 柑橘ピールとリコッタチーズのクリーム」が提供されました。クリームの甘味はビールの苦味と和らぎ合います。またそのクリームに練り込まれた柑橘類の皮は、ビールのそれと高まり合うのは言うまでもありません。
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(写真:カンノーロ 柑橘ピールとリコッタチーズのクリーム)

以上の料理の説明で出てきたカタカナには、イタリア語由来が多いと気付いた方もいるでしょう。料理の様式はもちろんイタリアンですし、ビアチェッロもイタリアを起源とするレモンのリキュールである「リモンチェッロ」を名前の由来としているのです。

THAT’S HOP第3弾にかけられた魔法

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この記事のライター

長谷川小二郎

記者・編集者・英日翻訳者。2008年から、米国のWBC、豪州のAIBA、日本のIBCなど国際的なビール審査会を中心にビールの審査員。2014年から、ビールと料理のマリアージュのプロ「ビアコーディネイター」としてワークショップを60回以上開催。2018年からビアコーディネイターセミナー講師。

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